歯石取り
よく見られる症状
- 口が臭う
- 歯肉が赤い
- 歯石がついている
- 歯がグラグラする
- 歯が抜けた
- よだれが多い
- くしゃみが出る
歯石除去について
歯周病の原因は、歯についたプラーク(歯垢)でありバイオフィルムです。
プラークは、菌の塊であり、ネバネバしたバリアの膜、バイオフィルムを形成します。このバイオフィルムの中の細菌を叩かないと歯周病のケアはできません。バイオフィルム内の菌は、抗生剤に対する抵抗性が1,000~1,500倍も高いです。
バイオフィルムの身近な例は、排水溝のぬるぬるです。排水溝のぬるぬるは、塩素系の消毒薬で綺麗にできますが、そのようなものは口の中には使えません。排水溝のぬるぬるは、こすると取れます。歯のぬるぬるもこすれば取れます。
また、歯石は死んだ細菌のかたまりで、表面がでこぼこしているのでプラークが付きやすい状態です。歯周病の原因となるプラークが付着する歯石は、歯磨きで除去するのは困難です。そのため、定期的な動物病院でのクリーニングが必要となります。
歯肉炎から歯周炎へ進むとその病態は元に戻すことは困難となるため、軽度な状態で早期に発見し、重症化させないことが重要です。動物病院でのクリーニングは麻酔下で行いますが、同時に歯科レントゲンを含む口腔内の検査を実施することにより、起きている状態では確認できない口の異常を見つけることができます。
また見えるところの歯石を除去してきれいな歯になっていることと、健康な歯であることはイコールではありません。歯周炎の最前線は歯肉縁下(歯肉の内側)であり、そこのプラークや歯石がなくならない限り、歯周炎の予防や治療にはなりません。
当院での麻酔下のクリーニングでは、歯肉に覆われて隠れている歯の表面や歯根表面の歯垢歯石も丁寧に除去します。
治療の流れ
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事前診察と検査
歯科治療は、動いてしまうことで適切な検査と治療ができないため、必ず麻酔下で拡大鏡を用いて行います。そのため通常の手術と同じように麻酔前の全身の検査が必要です。
年齢や疾患によって検査する内容は変わります。歯科治療の1〜2週間前に全身の検査を実施します。
麻酔前の全身検査の例
1~6歳 身体検査、血液検査、レントゲン検査(胸部、腹部)¥22,000~
7歳以上 身体検査、血液検査、胸部・腹部のレントゲン検査、腹部エコー、必要により心エコー¥32,000~ - ↓
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治療当日
当日は絶食で、お昼前にご来院いただき、お預かり後に治療を行います。
全身麻酔をかけてから、口腔内の検査を始めます。
口の中にも麻酔をかけて痛くないように検査処置します。
歯科レントゲンを含めた、歯科検査を実施し、必要な処置を決め実施します。 - ↓
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治療後
1~2週間後に口腔をチェックします。
後は3〜6ヶ月ごとに定期検診をして、必要に応じて定期的にクリーニングを継続します。
症例
歯石
よくある質問
- Q歯石除去はどのような方法で行われますか?
- A歯石除去は超音波スケーラーという機械を用いて行います。歯肉よりも上の部分についている歯石と、歯肉の内側の見えにくい歯石両方を除去する必要があるため、当院では麻酔下で拡大鏡を使って歯石除去を行なっています。
- Q歯石除去は本当に必要ですか?
- A歯石は歯周病のリスクファクターとなるため、定期的に除去しましょう。歯周病は、口の環境が悪くなるだけでなく、多臓器に悪影響を及ぼします。動物病院で歯石を取ることは重要ですが、歯周病の最前線は歯肉の内側で起きているため、見えるところだけでなく、歯肉の内側も拡大鏡またはマイクロスコープを使用してきれいに歯垢歯石を除去することが歯周病の治療又は予防になります。 歯周炎が悪化したら抜歯が避けられなくなりますが、早期に治療をすることで健康な口腔環境を維持することができます。
- Q歯石除去の頻度はどのくらいが良いですか?
- A1~3歳時に麻酔下で口腔内の検査とスケーリングを行います。噛み合わせの問題や、歯の本数が少なく埋伏歯があるかもしれないため、これらの確認も同時に行います。以降年に1回の定期的な実施が推奨されています。