猫の口内炎
(歯肉口内炎、尾側口内炎)
よく見られる症状
- 口の痛み
- フードの食べこぼし
- フードを食べない
- 口臭
- 毛づくろいが減る
歯肉口内炎・尾側口内炎とは
猫の歯肉・口腔粘膜の慢性炎症であり、細菌やウイルス、免疫反応など様々な要因が関わっていると考えられています。
症状は、食欲低下、食欲不振、食べこぼし、体重減少、よだれ、出血などです。
口腔内の歯肉や、口腔の尾側粘膜に腫脹や潰瘍が見られます。
歯肉口内炎・尾側口内炎の治療
スケーリングによる口腔衛生環境を良くしたり、抗生剤やステロイド剤などの投与、レーザー治療などが行われていますが、それらの効果は限定的です。また抗生剤やステロイド剤を長期間投与することにより他の疾患を引き起こすリスクもあります。
もっとも効果的な治療は、全臼歯抜歯または全額抜歯です。
治療反応は、全臼歯抜歯が60〜70%、全顎抜歯が70〜90%であり、抜歯した後も完治するまでに治療が必要になり時間がかかることもあります。
治療の流れ
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事前診察と検査
歯科治療は、動いてしまうことで適切な検査と治療ができないため、必ず麻酔下で拡大鏡を用いて行います。そのため通常の手術と同じように麻酔前の全身の検査が必要です。
年齢や疾患によって検査する内容は変わります。歯科治療の1〜2週間前に全身の検査を実施します。
麻酔前の全身検査の例
1~6歳 身体検査、血液検査、レントゲン検査(胸部、腹部)¥22,000~
7歳以上 身体検査、血液検査、胸部・腹部のレントゲン検査、腹部エコー、必要により心エコー¥32,000~ - ↓
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治療当日
当日は絶食で、お昼前にご来院いただき、お預かりいたします。
お昼〜夕方の時間帯に歯科処置を実施、麻酔をかけてから、口腔内の検査を行い(口の中にも麻酔をかけて痛くないように処置します。)歯科レントゲンを含めた、歯科検査を実施します。
全臼歯抜歯
臼歯の歯肉を切開し、歯の周囲の歯槽骨を切削し抜歯します。
猫の抜歯は歯が折れやすいため、折れた場合もレントゲンで確認して全ての臼歯を抜歯します。歯肉粘膜を縫合して、抜歯した場所を閉鎖します。
全顎抜歯
歯肉を切開し、歯の周囲の歯槽骨を切削し抜歯します。
猫の抜歯は歯が折れやすいため、折れた場合もレントゲンで確認して全ての歯を抜歯します。歯肉粘膜を縫合して、抜歯した所を閉鎖します。
症例
歯肉口内炎
よくある質問
- Q猫の口内炎の原因は何ですか?
- A口内炎の原因は、細菌やウイルスなどの関連性や免疫異常が考えられているが、はっきりしたことは不明です。
- Q猫の口内炎を予防する方法を教えてください。
- A原因がわかっていないため、予防は難しいと思われます。
- Q猫の口内炎はうつりますか?
- A口内炎の原因には、ウイルス感染が指摘されているため、うつることもあります。しかし、他の原因には免疫反応が関わっている可能性もあり、ウイルス感染のみでは発症に至らないかもしれません。
- Q歯をきれいにする事が良いと聞きました、お勧めのデンタルケアグッズはありますか?
- A一番のおすすめは、歯ブラシによる歯磨きです。歯周病の原因である歯垢を最も効率よく除去できるのは、歯ブラシです。歯ブラシによる歯磨きは、歯周炎の予防にも治療にもなります。シニアになっても歯磨きはできます。歯磨きをするのは容易なことではありませんが、一緒に練習してできるようになりましょう。