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猫の歯について|口臭やよだれは歯のトラブルサイン?獣医師が解説

愛猫の歯磨きが上手にできない…最近、口臭やよだれが出るようになって… 愛猫の歯にトラブルがある場合、どのように対応するといいか悩んでしまいますよね。

この記事では、猫の歯の役割やよく生じるトラブル、ご家庭でのケア方法についてご紹介します。

記事の後半では、猫の歯についての「よくある質問」にも回答していますので、ぜひご参考になさってください。

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猫の歯の基礎知識~種類と役割

猫の歯は、人の歯のように「食べ物をすりつぶす」機能を持っていません。肉食動物特有の、獲物を捕らえ、肉を引き裂いて丸飲みすることに特化した形をしています。

猫の永久歯は全部で30本あります。(人の歯は親知らずを除くと通常28本ですので、猫の方が少し多いですね)
それぞれの歯の役割は以下の通りです。

【上顎(左右それぞれ)】

切歯(前歯):3本……小さな前歯です。主に毛づくろい(グルーミング)や、ノミを取るとき、骨についた細かい肉をそぎ落とすときなどに使用する、繊細な歯です。
犬歯:1本……長く尖った歯です。獲物に深く突き刺して捕らえたり(固定する)、とどめを刺したりする役割があります。
前臼歯:3本……犬歯の後ろにある歯です。上下の歯がハサミのように噛み合わさることで、肉を飲み込めるサイズに切り裂く(剪断する)役割を担います。
後臼歯:1本……一番奥にある小さな歯です。人の奥歯とは異なり、すりつぶす機能はありません。前臼歯と協力して食べ物を噛み切る補助をします。

【下顎(左右それぞれ)】

切歯:3本……小さな前歯です。主に毛づくろい(グルーミング)や、ノミを取るとき、骨についた細かい肉をそぎ落とすときなどに使用する、繊細な歯です。
犬歯:1本……口を閉じたときに、上顎の犬歯と噛み合ってロックするような形になり、捕らえた獲物を逃さないようにする役割があります。
前臼歯:2本……上顎の前臼歯と噛み合い、肉を切り裂くのを助けます。
後臼歯:1本……下顎で最も重要な奥歯です。上顎の大きな前臼歯(第4前臼歯)とセットで「裂肉歯(れつにくし)」と呼ばれ、ハサミの刃のように肉を切り裂く主役の働きをします。

歯が生える時期(萌出時期)

乳歯(計26本)……生後2~3週齢から生え始め、3~6週齢頃までに出揃います。
永久歯(計30本)……生後3~4か月齢から生え変わり始めます。
永久歯が生える時期が近づくと、永久歯は乳歯の歯根を吸収しながら押し出すように生えてきます(萌出)。

猫の歯によくあるトラブル

猫の口内には、しばしばトラブルが生じます。代表的な3つの病気をご紹介します。

1. 歯周病

猫では犬と同様、歯周病がよく発生します。 米国獣医歯科学会(AVDC)によると、3歳になるまでにほとんどの犬と猫に歯周病の何らかの兆候が見られると言われています。

歯周病とは、歯垢(プラーク)の中にいる細菌が原因で、歯を支える組織(歯根膜、歯槽骨、歯肉など)が炎症を起こし、最終的に歯が抜けてしまう病気です。

【よく見られる症状】
・口臭がある
・口から出血する
・歯肉が腫れる
・食べづらそうにしている
・よだれが多くなった
・前足で口周りを気にする

重症化すると、炎症が顎や頬まで広がり、顔が腫れたり目の下に穴が開いたりすることもあります。また、元気や食欲がなくなるなど、全身に影響を及ぼすこともあるため注意が必要です。

また、歯周病は口の中だけの問題ではありません。 炎症部位から細菌が血管に入り込むと、血流に乗って全身へ運ばれ、心臓・腎臓・肝臓などの重要な臓器に悪影響を及ぼすリスクがあります。 近年の獣医学研究でも、重度の歯周病は猫の慢性腎臓病のリスク因子の一つであることが報告されており、お口のケアは全身の健康を守るためにも非常に重要です。

2. 歯肉口内炎

歯肉口内炎も猫によく見られる疾患です。痛みが非常に強く、食事や水分が摂れなくなることで、脱水や体重減少を招くなど生活の質(QOL)が大きく低下します。痛みによるストレスで攻撃的になったり、自身の毛を抜いてしまったりすることもあります。
原因は単一ではありませんが、カリシウイルスなどのウイルス、特定の細菌、免疫反応の異常など、複合的な要因が関与していると考えられています。

3. 吸収病巣(歯が溶ける病気)

吸収病巣(きゅうしゅうびょうそう)は、猫に特有の非常に多い病気です。 「破歯細胞(はしさいぼう)」という細胞が活性化し、自分の歯を異物とみなして溶かしてしまいます。

【特徴】
・歯と歯茎の境目が溶け、その穴を埋めるように赤い歯肉が盛り上がって見えます。
・象牙質(歯の内側)が露出するため、知覚過敏のような鋭い痛みを伴います。
・痛みにより、あごをカチカチ鳴らす動作(チャタリング)や、食事をこぼす様子が見られることがあります。

原因は完全には解明されていませんが、痛みが強いため、治療には抜歯が選択されることが一般的です。

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猫の歯トラブルのチェックポイント

【ご家庭で】

日頃から、上記のような症状(口臭、よだれ、食べ方など)がないか、よく観察してあげてください。

【動物病院では】

歯肉の状態、歯石の有無、歯のぐらつきなどを確認します。 必要に応じて、歯周ポケットの深さの測定や、歯科用レントゲンによる検査を行い、外見では分からない歯根の状態や歯周炎の進行具合を詳しく評価します。

猫の歯トラブルのケア・治療方法

動物病院での治療(歯石除去・抜歯)

動物病院では、麻酔をかけて行う処置が基本となります。

歯石除去(スケーリング)……超音波スケーラーや専用機器を使用し、歯の表面だけでなく歯周ポケットに隠れた歯石や歯垢も除去します。仕上げにブラシで研磨(ポリッシング)を行い、歯の表面の凹凸をなくします。

抜歯……症状や病気の種類に応じて、痛みの原因を取り除くために「抜歯」が選択されることがあります。

【歯周病の場合】
歯周病(歯周炎)になると、痛みで口を触らせてくれないことが多く、猫ちゃんへの歯磨きでのホームケアが非常に難しくなります。そのため、痛みの原因を取り除き、生活の質を改善するために抜歯が選択されるケースがあります。

【歯肉口内炎の場合】
抗生剤やステロイド剤による内科療法も行われますが、その効果は一時的・限定的であることが多く、ステロイドの長期投与による副作用(糖尿病や免疫力の低下など)の懸念もあります。そのため、現状では抜歯が最善の治療法と考えられています。 抜歯の範囲は、全臼歯抜歯(奥歯を全て抜く)、全顎抜歯(全ての歯を抜く)など、症例に応じて選択されます。 治療成績については、過去の複数の研究報告から、全臼歯抜歯または全顎抜歯によって、約70~80%の猫ちゃんで完治、もしくは薬が不要になるレベルまでの大幅な改善が得られると結論づけられています。 当院では重度な歯肉口内炎に対して全顎抜歯を実施し、その後1年の内科治療ののち良化したケースもあります。

【吸収病巣の場合】
歯が溶けることで神経が露出し、強い痛みが生じます。修復治療は困難であることが多いため、痛みを取り除くための根本的な治療として抜歯が行われます。
なお、口腔内の炎症が重篤な場合や腫瘤を形成している場合などは、生検を行って病理組織学的検査をすることもあります。

自宅でのケア(歯磨き)

愛猫の歯を守るためには、何よりも日々の歯磨きが大切です。しかし、猫は無理強いを嫌うため、最初から歯ブラシを使うのはハードルが高い場合がほとんどです。以下のステップで少しずつ慣らしていきましょう。

1.口周りに触れる……まずは顔や口元を触られることに慣れさせます。

2.指で触れる……抵抗がなくなったら、ジェルタイプの歯磨き粉や液状おやつを指につけ、歯肉に優しく当ててみます。

3.歯ブラシを使う……指に慣れてから、歯ブラシを使ってみます。もし歯ブラシを嫌がる子は、綿棒や、毛先が柔らかい歯ブラシを使うのがおすすめです。

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当院であった歯磨きができるようになったケース

歯肉の腫れを主訴に来院された、3歳の日本猫ちゃんのケースです。診察の結果、歯垢と歯石の付着による歯周病が見られたため、まずは麻酔下での適切な歯科治療を実施し、口内をきれいにリセットしました。
しかし、治療後も何もしなければ歯周病は再発してしまいます。そこで飼い主様は、ご自宅でのケアを決意。「綿棒」を使った歯磨きを根気強く継続されました。 工夫された点は、ケアの後に必ず「ご褒美」をあげること。これで猫ちゃんが歯磨きを嫌いにならないよう習慣づけられたそうです。
その結果、数年経過した現在も歯肉の状態は非常に落ち着いており、歯石もほぼ見られない良好な状態を維持されています。

よくある質問

Q. ウェットフードは歯垢がつきやすい?

A. はい、ドライフードに比べるとつきやすい傾向にあります。成猫であれば、基本的にはドライフードをメインにするのがおすすめです。粒の大きなドライフードは噛むことで唾液分泌を促し、歯の健康に役立ちます。ただし、水分補給も重要ですので、ドライとウェットを混ぜる「ミックスフィーディング」もおすすめのスタイルです。

Q. 歯磨き粉は使用した方がいい?

A. はい、使用をおすすめします。風味がついているものが多く、愛猫が歯磨きを好きになるきっかけになります。直接塗れない場合は、鼻先や前足に塗り、自分で舐めさせることから始めてみましょう。

Q. どうしても歯磨きができない場合は?

A. 無理は禁物です。実際、完璧に歯磨きができている飼い主様は多くありません。難しい場合は、デンタルケア用のトリーツ、ガム、サプリメント、専用の療法食などを活用しましょう。また、インターフェロン製剤など、負担の少ない治療法もあります。痛みが出てからでは手遅れになりやすいため、気になることがあれば早めに動物病院へご相談ください。

Q. 猫の歯は抜いても大丈夫? 食事はできる?

A. 全て抜いても、日常生活にほぼ支障はありません。前述の通り、猫の歯は「飲み込めるサイズに切る」役割が主で、咀嚼(そしゃく)機能は強くありません。キャットフードは飲み込めるサイズであることが多いため、歯がなくても問題なく食事が可能です。歯がなくなり食べこぼしが見られるケースもありますが、むしろ、抜歯によって痛みがなくなり、以前より食欲が増す子も多くいます。

Q. 抜歯後の食事はどうすればいい?

A. 術後数日は柔らかいフードを与えて傷口を保護します。その後は、小粒のドライフードであれば問題なく食べられるようになります。大きすぎるフードは食べにくくなるため、小さめのものを選んであげましょう。

Q. 麻酔が心配ですが大丈夫でしょうか?

A. 事前に血液検査などで全身状態をしっかりチェックします。歯周病治療を受けるのは中高齢の猫ちゃんが多いですが、リスクを理解し、適切な準備をして行えば、大きなトラブルが生じる可能性は低いです。放置するリスクと天秤にかけ、獣医師とよく相談しましょう。

まとめ

愛猫が健康的に過ごすためには、デンタルケアが欠かせません。歯磨きが理想ですが、嫌がる場合はケア用品を活用し、無理なく楽しく続けましょう。

「口臭が強い」「歯磨きができない」など気になることがありましたら、すぐに動物病院を受診するようにしてください。

猫の歯についてのご質問や定期検診は、品川どうぶつ歯科へお気軽にご相談ください。

監修:品川どうぶつ歯科 獣医師 小原
保有資格:ISVPS小動物歯科口腔外科認定医

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